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取材記事

歯周病、あなたは大丈夫?
(みんな、げんき? 2005年12月号 32ページより)
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歯周病、あなたは大丈夫?

歯周病は15歳から増え続け、 35歳で80%以上の人がかかっているといわれています。 成人が歯を失う一番の原因である歯周病こついて、 約30年も前から予防歯科に力を入れ、 治療にあたる国際ピル歯科の 相良院長にお話をうかがいました。


―歯周病とは、どういう病気ですか?

 「歯周病とは何か」と考えると、歯だけに限って小さくとらえれば、「痛くはないけれど、最終的には歯が抜けてしまう病気」です。歯と歯肉の間に歯垢がたまり、細菌が棲みつくのが原因。菌は動物だから生きていて、生きている動物は排泄物を出します。これが毒素で、歯肉 の炎症を起こし、自覚症状もほとんどないまま、何十年という年月をかけて悪化すると、気づいたときには歯を支える骨も溶けて歯を失ってしまいます。  
大きくは、全身の健康に大きな役割をはたす、「口のはたらき」の面からとらえます。全身の健康にも、歯周病は実にさまざまな影響をおよぼします。歯周病菌が、口の中以外でも生きられるのは動脈の壁。歯周病菌は口の中の毛細血管に入って全身をめぐり、動脈の壁に住みつきます。動脈の壁が厚く、血液がドロドロになり、動脈硬化を引き起こしやすくなると、脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。  
また、糖尿病の方には歯周病が多いと指摘されています。糖尿病になると体の抵抗力が弱まり、細菌に感染しやすくなります。さらに歯周病菌によって症状が悪化すると、血糖値のコントロールがむずかしくなり、高血糖の状態が続くと、糖尿病の合併症を引き起こすリスクが高まるためです。

―全身の健康と深い関係がありますね

まず歯周病が進むと、よくか めなくなります。人はかむことで食べ物の消化を助け、栄養を吸収し、唾液の分泌を促します。 唾液には数十種類以上の物質が含まれ、自浄作用や抗菌作用によって細菌の発育を抑えるはたらきがあります。よくかまない人は、かむ人に比べてがんになりやすいといわれています。  
奥歯でしっかりかむはたらきには、 体にとって重要な器官、 脊椎と脳を守る役目もあります。 脊椎と脳に異常が起こると、自律神経まで含め全身に異常が出やすくなります。  
さらに歯や神経を抜くと、脳は萎縮します。歯の1本1本には、それをコントロールする脳細胞があって、歯を失うとその部分の脳細胞は消えてしまいます。問題はそこから神経線維の束が出ていて、海馬を通り、体の中まできていること。歯の脳細胞がはたらかなくなるとき、知識や判断力を司っている海馬のほかの神経線維も一緒に消えることがわかっています。そのため歯を失うと認知症になりやすくなったり、記憶力が低下したり、感情がコントロールできなくなったりします。  
このように口の中の状態と全身の健康とは、思っている以上 につながりが強いのです。口は一生若々しく、健康で生きていくための要です。歯を失うことは、体を健康に保つ機能を失うということであり、歯を削ることは若さを削る、命を削るということなのです。

―年をとっても元気に暮らすには、自分の歯が必要なのですね

現在、日本は長寿国となり、90歳、100歳の方も珍しくなくなつてきました。元気に毎日を過ごしておられるお年寄りもたくさんいらっしやいますが、入れ歯の方がほとんどです。  
これは、日本人のデンタルケアに対する認識が、人生50年だったころとあまり変わっていないためです。むし歯や歯周病になったから、仕方なく歯医者に行くというのが一般的でしょうが、これからのデンタルケアは、病気の原因をつくらないように予防していくことが必要です。  
寝たきりにならず、思いきり笑えて、100歳になっても世界中飛び回っておいしいものを食べる、そうできたらうれしいじゃないですか。入れ歯になったら、食べたい物も食べられなくなり ます。食べたい物を自分で選ぶのではなく、入れ歯でも食べられる物しか選べないということになってしまいます。

―歯周病にならないためには、どうしたらいいですか?

歯肉がはれる、口臭がする、歯みがきのとき出血するなどの症状があったら、まず歯周病の診察をしている歯医者で診てもらうことが大切です。適切な治療を受け、きちんと予防すれば悪化を防げます。  
歯周病の治療は、歯周病の正しい知識を知ってもらうところから始めます。すべて理解できていないと治療成果に影響が出るため、きちんと説明するということは重要なことなのです。  
当院では、歯科人間ドックを設けて、むし歯や歯周病の予防を行なっています。口腔検査や?線検査、歯並びやかみあわせ、みがき残しの検査をします。希望があれば、唾液や口臭の検査もできます。検査結果に基づいて患者さんと治療計画を立て、歯のクリーニングや歯みがきの指導などを行ないます。  
歯周病の予防には、毎日のデンタルケアが大事です。ケアをしているつもりでも、自己流で間違ったみがき方をして傷つけたら歯をダメにしてしまいます。 歯みがきで一番肝心なのは、みがき残しがないこと。歯垢1ミリ立方センチメートルの中には、1億個の細菌がいます。細菌がひそんでいる歯と歯の問などをきちんとみがかなければ、何十億個という細菌は口の中にずっ と住みついているようなものです。  
歯周病になる前に細菌を取り除く歯みがきができれば、歯は簡単には悪くなりません。一人ひとり体質や歯並びが違うため、・自分にはどのような歯ブラシやみがき方がよいかは歯科医による指導が必要なのです。自分で正しい歯みがきを行い、定期的に歯医者でチェックを受けることで歯垢が減り、口の中の健康状態はよくなります。  
ほかに規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠など、一般に健康によいといわれていることは歯にもよいです。そして、食事はよくかむこと。やわらかいものばかりでなく、少し硬めの食材を選び、たくさんかむということを意識して食べましょう。