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取材記事

目指すのは心身の健康 歯科人間ドックの考え方
(HaWaYu(ハワユー) 2003年7・8月号より)

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目指すのは心身の健康 歯科人間ドックの考え方
 相良俊男(歯科医師)

 皆さんは歯医者を、虫歯ができたり歯周病にかかったら行くところと思っていらっしゃるかもしれません。しかし虫歯は痛みが出るころにはかなり進んでおり、また歯周病は痛みもなく進行する場合がほとんどです。つまり口腔の健康は、治療以上に予防が大切なのです。
 予防の重要さは、歯周病が命に関わる病気であるという事実にも起因します。例えば歯周病を起こしている細菌が血管内に入り込んで住みつくと、動脈硬化や高脂血症の原因となり、心筋梗塞や狭心症、脳卒中を起こす確立が高くなることが判りました。また、以前から糖尿病の患者さんは歯周病になりやすいといわれていましたが、近年、歯周病の細菌が作る毒素や免疫細胞からの化学物質などが糖尿病を悪化させることも判明してきています。
 さらに、歯周病の女性患者は早産や流産、新生児死亡のほか、骨粗鬆症も多いとの報告があります。悪いかみ合わせが頭痛や肩こりを引き起こしたり、内耳が刺激されて耳の聞こえが悪くなるというケースも知られています。また、歯が痛い時や口臭が気になる時、前歯がない時などは思いきり笑えず、気持ちが沈んでしまいがち。笑いは免疫力を上げるといわれています。つまり笑うことのできない生活は、心身ともにダメージとなってしまうのです。
 今ある歯を大切に、一生歯を削ったり抜いたりすることなく、心身の健康を守りたい。この願いを実現するために誕生したのが歯科人間ドックです。削るべき虫歯を探す従来の歯科検診と大きく異なり、口の中を細かく調べて患者さんの状況を把握し、虫歯や歯周病はもとより、全身疾患の予防を指導します。口腔内の検査によって、癌や前癌の病変、腫瘍といった重篤な全身の病気を発見できることもあるのです。
 基本的な内容は、問診票への記入、歯や舌や歯周組織を診る口腔検査、顎の骨や関節などを診るX線検査、歯並びとかみ合わせの検査、磨き残しの検査と基本的な歯磨き練習、虫歯になりやすい体質かどうかを調べる虫歯菌(2種類)と唾液の検査。その間に、患者さん一人ひとりの状態に応じたカウンセリングを行います。日本歯科人間ドック学会が目安とする基本料金は2万円、所要時間は1時間半程度です。これからの快適な生活のために、まず口の中の健康を見直してみてはいかがですか。